株価は利益に連動する③
前回までの記事では
4つの企業例を使って時系列にみて株価が利益に連動している様子を見てきました。
今回は1つの業種内で断面を切り取ったときも株価は利益に連動している様子を見ていただこうと思います。
まず完成車メーカー7社です
以下では時価総額を株価に読み替えてください
(*時価総額=株価x発行済み株式数=会社が株式市場で評価されている企業価値です)
図の見方ですが
例えばトヨタの時価総額は1兆8000億円で、2900億の営業利益を生み出しています。
完成車7社合計の時価総額は3兆4000億円、営業利益は5400億円になります。
つまりトヨタは自動車7社のうち53%の利益を生み出していて、その時価総額は自動車セクター内で54%と誤差1%になっているということです。
他の企業もホンダの3%がやや大きいですが、概ね数%以内の誤差に収まっています。
参考までに売上、純資産など他の指標も載せていますが
1番利益が時価総額=株価を説明している姿が見ていただけると思います。
株価は利益に連動する②
前回はmixiの例で株価が利益に連動する様子をみていただきました。
1つの例だけですと 「たまたまでしょ」と思われるかもしれませんので
本日は追加で3例 示させていただきます。
2379 ディップ
アルバイト求人サイト「バイトル」を運営しています。
アルバイト広告の紙→WEB化→スマホ化の流れをうまく読み取り、急速にシェアを伸ばしました。AKBを使ったCMの効果の有効性も高かったと言われています。
この会社も綺麗に赤い線と青い線が連動しています。
2331 ALSOK
セコムに次ぐ、セキュリティー会社2番手です
ある程度契約数が増えると(特に同じ地域に)警備員(=コスト)を増やさずとも売上を伸ばすことができるので、2014年ごろから急速に利益率が改善し、利益が伸びました。(高固定費ビジネス)
株価は利益の伸びに少し遅れて上昇をしはじめました。
この例では、実際に利益がでている姿を見てから投資をしてもうまくいった例になります。
7751 キヤノン
逆もしかりです。
カメラはスマホの影響、プリンターは競争激化やペーパレス化が進む中で利益が低迷しています。
それに連動するかのように株価はアベノミクスの恩恵もなく、低位に推移しています。
このように株価と利益はほとんどの例で連動しています。
実際似たようなチャートはいくらでも例を作ることができます
次回は例を示すのではなく
売上やそのほか項目よりももっとも株価は利益に連動しているということを示したいと思います。
株価は利益に連動する① - 2121 mixi -
株価を動きを予想する上でまず知らなくてはならないのは
『株価は何と連動して動くか』ということです。
結論を先に言ってしまえば
株価は会社が生み出す利益に1番連動します。
(もちろん他の要素もあるのですが、わかりやすくするために言い切ってあります)
よって、その会社が生み出す利益を正確に予想できれば株価も当てることができます。
そのために証券アナリストは取材などを通じて企業を分析し
調査対象企業が将来生み出す利益を必死に予想しています。
いくつか例を見てみましょう。
1)2121 mixi
mixi は国産SNSとしてかつて国内最大のシェアを有していましたが
利益を生み出すのはあまり得意ではありませんでした。
赤い線はmixiの過去の営業利益の推移を示しているのですが
2007年から2013年まで利益の水準は0付近で推移している様子が見れます。
(青い線の)株価も一貫して下落基調にありました。
しかしは2013年11月ごろから株価は急伸し、1年で30倍になります。
これはSNSゲーム『モンスターストライク』のヒットによるものです。
再び上図をみていただくと
モンスターストライクのヒットによってmixiは利益を産みだせる会社へと変貌し、
赤い利益の線を先回りする形で株価が上昇している姿を見ていただけると思います。
モンスターストライクがパズドラにならぶ、日本を代表するゲームアプリになることを予想できていれば簡単に株価で儲けることができたわけです。
実際mixi 担当のアナリストは毎日appstoreでモンスターストライクの順位が何位で推移しているかなどをチェックしながら将来の利益の予想をし、投資判断を下しています。
この図を見られた頭のいい方は最後にこう思うかもしれません。
『まだ利益が伸びているのに株価は6000円から4000円まで下落しているのはなぜか?』
株の世界で必ず正解はないのですが、私の理解はこうです。
・モンスターストライクはすばらしいゲームだが、どんなゲームもいずれ飽きがくる。
・モンスターストライクの代わりに利益が作れる次のゲームが生み出せていない
→mixiの利益は将来減る可能性が高い
株価はよく先見性があると言われます。
mixiの例でも実際モンスターストライクによって利益がでる前から株価は上昇し、
利益が落ち始める前に株価は下落しています。
上のチャートが示しているのは、今の市場ではざっくり営業利益が将来500億程度に落ちるということを織り込んでいる形になります。
よって、もしあたなが
a)モンスターストライクはまだまだ利益を生み出し続けると思えば
→mixiの株は買いに
b)近い将来モンスターストライクは完全に飽きられmixiはもとのまったく利益を生み出せない会社に戻ると思えば
→mixiの株価は売りの候補となります。
明日以降はもう少し例を見ながら株価は利益に連動しているということを認識していただきたいと思います。
誰でも実行できる株のマニュアルを!
こんにちは。
私は金融機関にて日本株に関するお仕事させていただいております。
こういう仕事をしていると
「株の売買で儲けたいんだけど、どうすればいいかわからないから教えてほしい」
と聞かれる場面も多いのですが、いつも悩んでしまいます。
というのも、一言で説明できるほど株は単純ではないからです。
いい書籍を紹介できれば楽だなと思い
本屋でさがしても“これ”というものにはなかなか出会えません。
もちろん株式投資の本質を捉えた読むべき本はたくさんありますが
読み終わったあと、「じゃあ実際どの株を買えばいいのか?」
というのがどうもわからないというケースが多いと感じています。
そこで具体的にどうすればいいのかを重視した読み物を自分で書こう
というのが本ブログの趣旨となります。
リクエストにも答えていくつもりですので
ご意見いろいろとちょうだいできれば幸いです。